中央火口丘の山々の特徴は?
阿蘇火山の最高峰は高岳(標高1592mで、熊本県が昔「肥後」と呼ばれていたので、語呂合わせでヒゴノクニと覚えます)です。
高岳は安山岩(溶 岩中の二酸化ケイ素-石英の成分-が53~70%のもの)から玄武岩(石英の成分が53%未満)の溶岩と、いったん空に舞い上がった噴出物が厚く積もって溶結した岩石からできています。
高岳の下には鷲ヶ峰という大きな火山が埋もれています。仙酔峡側から高岳を見ると、高岳の北側にいくつかの岩峰がありま す。これらは鷲ヶ峰火山の活動によって出来たものです。鷲ヶ峰と高岳火山がいつの時代にできたかは詳しくはわかっていませんが、少なくとも2万年前よりは古い時代と考えられています。
烏帽子岳は、約4万年前にできた安山岩の火山で、山頂から南西(南阿蘇村長陽)方向に溶岩を流しています。
烏帽子岳の北隣には、草千里ヶ浜があり ます。草千里ヶ浜は約3万年前の大噴火によってできた直径約1kmの火口後です。この草千里ヶ浜の大噴火は、烏帽子岳火山の一部を吹き飛ばすとともに、大量の軽石をカルデラ周辺に厚く積もらせました。阿蘇火山博物館玄関の壁に貼られている赤い岩石は、この軽石が火口近くで溶結したものです。
杵島岳は、スコリアという穴のたくさん空いた黒っぽい物質(玄武岩)が積もってできた火山であり、こうした火山はスコリア丘と呼ばれています。
すぐとなりの往生岳や米塚も、皆同じ玄武岩質のスコリア丘です。
それぞれの山の頂上や山腹には、きれいな火口があります。これらの火山が活動したのは約3,000年前で、スコリアを噴出するとともに多量の溶岩も流しました。米塚の周辺には、溶岩が広く分布し、ここには溶岩の内部が流れ抜けて生じた溶岩トンネルがたくさんあります。
そして、現在も活動を繰り返しているのが中岳です。中岳は、三重式の構造をした火山で、その活動は2万年前頃に始まったと考えられています。
外側の山ほど古く、外側から順に「古期山体」「新期山体」「最新期火砕丘」と呼ばれています。
中岳火口の南側には、砂千里ヶ浜という砂漠上の荒地が広がっています。中岳からの火山灰がくり返し積もったり、火山ガスの影響で、植物がほとんど 生えず荒涼としていて、まるで月の世界のような景色が広がっています。ここは、わが国で最も活発な火山の一つである中岳の活動の凄さを身近に実感できる場 所の一つです。